まわされるって、なに…?

でも、とりあえず危ないってことだよね?

違う、危ないって言葉では簡単に言えるけど、最悪の場合…私は…し、し、…

そう思うと、体が勝手に震えてきた。
無理もない、普通の学生だ。生活は大変だが、友人にも恵まれている、ごく普通の…。

「…花楓」

彼が私の名前を呼ぶ。
心配そうな、不安そうな目をして…

私は彼にギュッっと抱きついて、すぐに離しニコッとした。そして、煌雅の父親の方を向き…

「…覚悟あるかどうかは今の私では口で言うだけで何も証明できないです。……ただ、私は彼が好きです。彼と一緒にいたい。どんな事があっても、彼がいてくれたら私は大丈夫だって思えるんです。
だからお願いします。ここに、彼のそばにいさせてください。」

そう言って、煌雅の父親の目をじっと見る。

鼻の奥がツンとする。でも、泣かない。
認めてもらいたいから。

そうしばらくの間、じっと見ていたら…

「あなた、そんなにいじめてはダメよ?」

後ろから綺麗な声が聞こえた。

「こんにちは、初めまして。煌雅の母親です」

そう言って、私の隣にスっと来て頭を撫でた。

撫でられた瞬間、糸が切れたように涙がポロポロと流れた。

煌雅の母親は あらあらまぁまぁと着物の袖からハンカチを取り出し、拭いてくれた。