アイドルと私。

〜エピソード3〜

「紗莉ちゃん、紗莉ちゃん、早く行こ!」

「ちょっと待って!それにあまり大きい声出しちゃダメだよ?」

今日は平日休みが重なった日。雅人くんも1日オフなので、今日は朝からデートでテーマパークに来ているけど、雅人くんったら周りの目を気にせずにはしゃぎすぎ。皆さんに気付かれちゃうんじゃないかなってこっちがヒヤヒヤ。

「早く行かなきゃ乗り物沢山乗れないよ?」

一応テーマパークのグッズで帽子とサングラスを購入し、装着してるけど…オーラがダダ漏れな気がする。

「ねー、今の人絶対イケメンじゃない?帽子とサングラスあるけど雰囲気絶対イケメン!」

「雰囲気イケメンかもしれないけど、確かにかっこよかったねー!」

ほら、いま通った2人組の女の子が雅人くんの方をチラチラ見ながらそんな会話が聞こえてくる!

「紗莉ちゃんどれから乗る?俺あれ乗りたい!」

当の本人は全く気にせず、全力で楽しむ様子だ。

「ちょっとちょっと…あまり大きい声出さない事!声でバレちゃうからね?私の事も名前で呼ばなくていいよ?ちゃんと反応するから!」

さすがに入って早々バレて騒がれたらせっかくここまで来た意味が無くなっちゃう。

「えーなんで楽しくないの?」

全く検討違いな考えを持つ雅人くんを見て思わず溜め息。

「えーなんで溜め息?疲れちゃった?休憩する?」