アイドルと私。

「おはよ〜」

まだ頭が冴えなくて、重い瞼を開ければそこには雅人くんの顔。

「おはよ…起きてたの?」

「うん、紗莉ちゃんの寝顔ずっと見てたー!」

ギュッて抱き寄せられて、そういえば一緒に寝ることになって、腕枕されながら眠りについたことを思い出す。

「起こしてくれれば良かったのに。」

ちょんって鼻を触れば、くすぐったそうに身を捩って

「紗莉ちゃんの寝顔見たかったからいいの〜。」

なんて言いながら顔をスリスリ擦り寄せてきて、私の方がくすぐったい。

「ご飯食べてないよね?作るから起きよっか。」

「えー!まだギューってしてたい!お昼ご飯は食べるから!」

起き上がろうとしたけど、掴まれた腕は離してくれなくて、再びベッドの中に潜り込んだ。

「ってあれ?これ何?」

ちょっと違和感あると思ってたけど、あまり気にしなくて、でも今触れた時にいつもと違う感触で。

「メリークリスマス。なかなか一緒に居れないのに、いつも隣に居てくれてありがとう。」

気付けば私の右手の薬指に指輪が嵌っている。

「ありがとう。どうしてサイズ分かったの?」

「これはね、ちゃんと彼氏居るぞ!っていう魔除だから外しちゃダメだよ?指輪のサイズは…実は前紗莉ちゃん家に行った時に、アクセサリーBOXを勝手に開けて、調べちゃいました!ごめんね?」

「ううん、分かった、絶対外さないし、本当に嬉しい!ありがとう」

そうやって感謝の言葉を伝えると、ちょっと照れ臭そうにしながら、優しいキスをくれた。