「優衣〜どうしよう。」
「はい、なんですか?」
今日は優衣に話を聞いてもらいたくて、仕事終わりに居酒屋に誘った。
「苦しいんだよね、すっごく。」
頼んですぐに運ばれてきたグラス同士を合わせ一口飲んで思わず溜息。
「何を言ってるんですか?あ、そういえばこの間初めておお宅邪魔してどうでした?」
豆腐サラダが運ばれてそれを取り分けてくれて、美味しいなんて言いながらサラダを口に運んでいる。
「食べないんですか?」
全然進まない箸を見つめながら心配そうに聞かれ
「食べるけど…なんか辛いの。どんどんどんどん知っていくうちに好きが溢れ出してギャップを見る度、心臓がギューって掴まれる勢いで…」
と答えてやっとご飯に箸を付けれた。
「なんですかそれ。ノロケですか?紗莉先輩可愛い!」
何故か優衣のテンションがあがってしまい、宥めつつ
「ノロケっていうかどうすればいいのかな?優衣はそんな経験無いの?」
と自分から話しておいて何だかいたたまれなく恥ずかしくなったので、ビールをゴクゴクと喉に流し込む。
「自分の所は…もうそういうの一旦終わって、今は安定でしか無いですね。一緒に居て落ち着くし。だから紗莉先輩みたいな好き過ぎて辛いとかはもう…お互い好きですけど、好きっていうより居心地が良いみたいな感じですかね?」

