Screw driver

「九条さん、いいこと言う〜!こういう台詞言ってくれる人って大人って感じがして好きです」

ニコニコと笑いながら美月が言うと、慶太は顔どころか耳まで赤く染まり、哲は目を大きく見開いて横で楽しそうに笑う美月を見つめる。

「お待たせしました。ジン・トニックとXYZです」

哲の前にはライムが飾られた透明な液体の入ったタンブラーが、美月の前には白い液体の入ったカクテルグラスが置かれる。

「XYZ……」

アルファベットの最後の三文字である。美月がその名前を呟くと、慶太が口を開く前に哲が言った。

「ラム酒をベースにオレンジリキュールであるキュラソーとレモンジュースを加えたカクテルだ」

「へえ〜、そんなこと知ってるんだ」

何か意外、と笑いながら美月はグラスに口をつける。柑橘系の酸味と甘みがバランス良く口の中に広がり、ほんのりとした苦味がアクセントになっている。

「おいしいです!」

美月がニコリと笑うと、無表情だった慶太に表情が戻る。