部活をやっていない私はこんな時間まで残っていることはないから心細かった。
あ、でもこの前律貴先輩の練習試合を見た時はこの時間まで残ってたな。そのあとは一緒に帰ったっけ。
律貴先輩のことを考えないようにしていたのに、1人になるとどうしても先輩のことを考えてしまう。
もう私の生活の半分は律貴先輩で埋め尽くされていた。
「ダメダメっ!律貴先輩のことを考えない!」
私はそうつぶやいて、教室に戻り、帰る支度をした。教室に誰もいないことを確認してから電気を消して、教室を後にした。
階段を降りて、廊下を歩いていると、
「律貴ー、一緒に帰ろ!」
律貴先輩の名前が、聞こえた。
ん?
誰だろ。聞き間違いじゃないよね。
私は、顔をあげて前を見てみる。そこには、律貴先輩………と思わしき人物と、その隣を歩く女子生徒がいた。
ードクン………。



