「よし。早く教室戻ってカバン取ってこよう」
私は気合いを入れ直すと、教室に向かった。
***
「律貴先輩、お待たせしました」
「全然待ってないよ。帰ろっか」
「はい!」
教室に戻ってカバンをとった後、律貴先輩とまた中庭で合流して、一緒に帰ることに。
隣に並ぶだけでドキドキが止まらなくて。
とても居心地が良かった。
「なんか清々しい顔してるね。なんかあった?」
昇降口で靴を履き替えて学校を出ると律貴先輩が顔を覗き込んでそうたずねた。
その顔の近さに、思わず後ずさりする。
「な、なんにもないですよ」
「そう?ならいいんだけど」
不思議そうに首を傾げて離れた。
そのことにほっと、胸を撫で下ろす。
「琥珀には敵わないよ」
「律貴先輩?なんか言いました?」
深呼吸をしていると律貴先輩がボソリと何かをつぶやいた。
だけど声が小さくて聞こえなかった。



