「よし、訓練はここで終わりにしよか」


汗で体全身がベトベトになった後、訓練終わりの声が響いた。

訓練が終わったあとの豚平さんは訓練中とは全く違った感じで、ほわほわした空気が場に流れている。


「努君、手伝いありがとな!」


そのほわほわした空気をまとったまま、彼がこちらに近づいてきた。


「この後すぐ書類と向き合わないとやからお礼とかできひんけど、また暇やったらアイスでも奢るわ」


どうやら、今日は甘やかしたいモードらしい。

嬉しそうにこちらに近づいてくる様子に思わず否定しかけたが、可哀想なので頷いた。


「努君、何がええ?なんでも買ってあげられるで」

「じゃあ、オススメで」


こうやって話している間に感じる暖かい視線が、逆に恥ずかしくなってきた。


少し距離を取ろうとすると、あからさまに落ち込まれるので離れられずにいる。


結局このままアイスを奢ってもらうことになった。