心の内で悪態をつきながら、自分も似たようなもんだった、とピアスホールを指でなぞる。


再び視線を中庭に戻すと、“彼女”は食べ終えた弁当を小さな巾着に仕舞い、手を合わせた。


「……」


新緑の影に、肩に流された一束の三つ編みが微かに揺れる。


透明感という言葉を体現したような肌の白さが、差し込む木漏れ日に照らされる。


降りてきた小鳥に「ようこそ」と言わんばかりに優しく微笑む。



差し詰め、天使としか言い様がない。



「お。何々、白雪ちゃんまた藤沢嬢みてんの?」

「甘酸っぱいねぇ、片想い」

「で、佐々木に邪魔されるの図」

「いつも通り。平和平和」

「てゆーか、いつからだっけ?ずっと好きだったわけ?」


有象無象———失敬、クラスメートの声がワラワラと後ろに集っていく。


とくに仲間内のひとり、小原(おはら)は隣に来るなり「ねぇ、ずっと?」と執拗にせっついてきた。