一方で、空は夕暮れから夜に切り替わっていた。
さて、そろそろ居場所探しに行かねば。
そう思い、くるりと振り返り、元のオンボロ和服に戻ったその瞬間。

「凄いぞ!!この子は正義の味方だ!!」
「どうやったらあんな風に火を消せるが!?」

えぇ…。
沢山の町人や武士、そして女や子供に囲まれた。
何だよ!早く宿とか見つけて一段落したいのに!
僕は苛立ちを感じ、ムスッとした顔をして、俯いて黙り込んだ。

「…。」

それでも人々は質問攻めをやめない。

「本当にうるさい奴らだ。こんなに一々質問されたら頭が思い切り破裂して死にそうだ!!」と、
僕は心の中で叫びながらも、黙って固まりながらじっと耐え続けた。

「ちっくとちっくと、なぁにお嬢ちゃんを困らしちゅーんじゃ?」

土佐訛りの、少し低い感じの男性の声が聞こえた。