膝をこれでもかと曲げ、思い切り飛び上がる。
城の外壁を蹴り上げながらハニーは窓へ目掛けて上っていった。


「うわあっ!!!すごいすごい!」


アリスはハニーの腕の中ではしゃいだ。


「アリス嬢、少々大人しくはしていただけませんか?」


この仕事はそう容易いことではない。
腕の中でじたばたとされては少々困難なのだ。

しかしアリスの嬉しそうな顔を見ると心が和んだ。



無事にエヴァの部屋まで着き、ハニーは魔法で窓をすり抜けた。

案の定エヴァは部屋にいた。
ベッドに腰をかけていた所にアリスとハニーが飛び込んできたものだから、エヴァはこれ以上無い程に驚いた。

しかし声を上げる前にアリスが口を塞ぐ。


「静かにして。貴方をさらいに来たの。
何かしようって訳じゃないわ。お願いだから一緒に来て。」


「アリス嬢、早くしなければ衛兵達がここまで来てしまいます。」


「ハニー、私はいいからエヴァを早く!」


「なりません!ならばお二人まとめて・・・。」


するとエヴァがそっとアリスの手に触れた。

その瞬間、アリスは気付いた。
彼女の真実を・・・。

自然とエヴァの口元から手が離れる。


「アリス、それが貴方の名ですね。

私はお姉様とお話がしたいのです。
貴方もそれを望んでいるのでしょう?」


エヴァはそう言った。