アリスは城の前で呆然と立ち尽くした。


「どうやって入るか考えてなかった・・・。」


ハニーはそれを見てくすりと笑った。
なんともアリスらしい。

感情のみで行動し、後先を考えない。

だがそれが彼女の長所でもあるのだ。


「ねえ、ハニー。この城のどこにエヴァがいるかわかる?」


ハニーはいつかのように耳をピンと立てた。


「そうですね・・・。
おそらくエヴァ・イニーネは東南のあの窓、見えますか?」


ハニーが指差したのは城の一角の窓。
アリスは頷く。


「あそこがおそらく彼女の部屋でしょう。
今はそこにいる筈です。」


「ねえ、あそこまで行けない?私のこと抱っこしてさ、無理?」


ハニーは手を翳して窓を見上げた。

エヴァの部屋まではかなりの高さがある。
しかしハニーにできない訳では無かった。


「可能だとは思いますが・・・。」


「じゃあそれで行こ!決まり!」


ハニーはやれやれという表情をし、アリスを抱きかかえた。


「行きますよ、アリス嬢。」


そうして高く高く飛び上がったのだった。