アリスが背後から去ったことを確認し、ハニーは杖に手を沿わせる。
すると杖は鋭利な剣へと姿を変えた。

トランプの兵達は群れを成し、各々が槍を持ってハニーに襲い掛かる。
ハニーはそれに向かって剣を向けた。


「さあ来るがいい、意志を持たぬ愚兵共よ。」





 小さな出口から身を出せば、そこには細い細い階段が上へと伸びていた。
これも今までの造り同様、壁に沿うようにできている。

しかしその幅の狭いこと。

壁にぴったりとついて上らねば足を踏み外してしまいそうだ。

しかしそこで躊躇う訳にもいかない。
中ではハニーが必死に戦っているのだ。

アリスは意を決して階段に足をかけた。


塔の頂上付近ということもあってか風も強く、アリスの金色の髪が大きく靡いた。

ふとハニーのことが心配になる。
しかし心を持ち直してひたすら上へと上った。


「着いた・・・。」


塔のてっぺんに来たものの、一体どうしたらいいのかわからない。
よく見てみると中心には下の部屋にあったような陣が描かれている。

するとまた、あの声が頭に響く。


「・・・わかった、あの円の真ん中に立てばいいのね。」


その声に誘われるかのように、アリスは陣の真ん中に立った。