目を覚ますとそこには光が満ちていた。
アリスの眼の中に陽の光が差し込んでくる。

どうやら気を失ったまま別のどこかへ来たようだ。


アリスは青々と茂る芝生の上に寝転んでいた。

上体を起こして辺りを見回すと、そこには垣根が迷路のように出来上がっていた。
少し離れた所に大きな城が聳え立つのが見える。

ここは中庭か何かだろう。


「目を覚まされましたか、アリス嬢。
お加減は如何ですか?」


ハニーが横に跪いてそう尋ねた。


「大丈夫。」


「どこか具合が悪い所などは?お怪我もありませんか?」


「平気。ありがとう。」


このハニーという兎はまるでお姫様を相手にしているかのようにアリスに接する。
こういう性分なのだろうか・・・。

よくわからない。


「さあ、お手を。」


アリスはハニーの手を取り立ち上がった。


「ここはどこ?」


アリスはハニーの背中を追いながら問いかける。


「ここはアリス嬢のいた世界とは別の世界です。

少々難しい話になりますが・・・我々は“次元”の中に住まう生き物。
各々の次元で各々の言葉を喋り、文化を築き、生きています。

アリス嬢の元いた次元、そして今現在いるこの次元。

それは全くの別物です。
お分かりになりますか?」


「・・・つまり、何もかもが違うってことでしょ?
私が関わった人達もここにいれば出会うことは無いし、言葉も通じない。」


「そういうことですね。

この次元での世界の呼び名は“プレザンス”。
そしてここはプレザンスの中の国の一つ、“キングダムA(エース)”という名の国です。」


「キングダム、エース・・・。」


アリスはぽつりと呟いた。