4限の体育が始まる。男女混合の1000m持久走だ。更衣室からジャージに着替え、出てきた女子の方に目を向けた。そこにはやっぱり合宮と話しながらグラウンドを歩いている叶華がいた。俺は保育園の時みたいにそのまま叶華の方に行って手を繋いで歩きたい衝動に駆られながらも抑えて、俺の周りに集まってくるやつらと歩いた。

「紳ってさ、たまにどこか見てるよな。なんか考えてるってか、物思いにふけてるっていうかな」

「あははっ、そうか。俺、別にそんなことしてないよ」

「そうか……」

とみつるとの会話をした。みつるの言うことは的当たっていて、いやだな。そうやって気づいてくれるのは叶華だけがいいな。

叶華気づかないかな……。

俺は叶華以外の女子とはあまり関係を持ちたくはない。ただ、俺の容姿だけで好きになるやつとか遊んでるやつって思われるのは心外だな。俺とつるみたがるやつら男子も女子も同じだ。目に見えて分かる。それが嫌なんだ。叶華ならそんな目で俺を見ないんだ。叶華だけが俺の大切な子……。

叶華のいる高校に入学して、気づいたのは叶華が男に苦手意識を抱いているようなんだな。帰りに教室で一人でマンガを読んでいる叶華はとても儚かった。

叶華が男に苦手意識を持っていることは俺にとっていいことだろうが、そこが問題にもなってくる。