叶華…｡かわいいな。あいつ、あの時のこと覚えてるかな。今日の朝、叶華に見られっちゃったな。片桐先輩といるところ。せっかく、叶華のいるところに引っ越しして戻ってきたのにな…｡

「紳、どこ見てんだよ！聞いてるのかよ！」

うるさいな。みつるのやつ。ゆっくりと叶華を見れる時間を。周りのヤツらは俺が遊んでるチャラいやつって思って集まってくるけど、ぶっちゃけ面倒だ。

「あぁ、聞いてるっての」

みつるは俺のその言葉に喜び、笑顔で俺の首に腕を絡めてきた。みつるとも保育園の時に遊んでたからな〜。久しぶりに高校で再開できたのもうれしいんだろうな。

「紳さ、片桐先輩とキスしたんだってな！」

とみつるが大きな声で言い放った。俺はみつるのその言葉に驚いた。こいつなんでもすぐに言うやつとは分かっていてもウザイな。

「キスってか…」

「キスしたんだろ！ 」

とみつるは言う。俺は濁して言うはずが濁せなくなった。周りのやつらもワイワイとザワつく。

「私も見た！紳が片桐先輩とキスしてるところ！あんなとこでやれるとか紳だけでしょ」

と俺を取り囲んでいるうちの一人の女子が言った。俺は言い返せなくなって、言った。

「まぁな。したよ」

俺は叶華に聞かれていないか心配になって、叶華の方に視線をやった。叶華はいつも通りに合宮と楽しげに会話をしていた。とその時、俺と目が合った。叶華は頬を赤らめていた。

俺は心がくすぐったくなった。

ただ、叶華は隙がありすぎに見える。早く俺のモノにしたい。叶えたいんだ。叶華の願いを………。