私は目を開けると保健室のベッドに寝転がっていた。

「日和、大丈夫か?」

その声はいかつい声で、兎田くんの優しい声じゃなかった。

横に振り向くと、そこには先島先生だった。

「体育の持久走で貧血になったんだってな」

「…貧血……」

「兎田が保健室に連れってってくれたんだ。兎田はいいやつだな」

「そうだったんですね…」

私は先生との会話のやり取りを交わし、先生はゆっくり休憩して、それから教室に戻って来ればいいと言って、保健室を出て行った。

私はムクッと起き上がった。保健室の中を見渡すと、保健室の女の先生の姿はない…。

私は保健室に一人ということにホッと息をついた。そして、ボフッとベッドに背中から寝転がった。

すると、窓がガラッと空き、風がビュウと入ってきた。私はびっくりして窓側に背を向け、横向きになった。すると、後ろから声かけられた。

「かーのかっ!」

その声はとても明るい声の男の子の声だった。私はその声の子が誰かすぐ分かった。兎田くんだ。兎田くんの方にそっと振り向くと兎田くんは笑顔だった。

「叶華大丈夫そうだな」

と兎田くんは私の頬を優しく触れる。私は兎田くんの方に向き直ったように見せかけ、目をつむった。私の顔に息がかかる。兎田くんは私の顔に近づけてきた。私はそんな兎田くんの行動にドキドキしながらも寝ている振りをする。兎田くんは私の気持ちを気にせずに私に唇にキスをして来た。そのキスはほんの一瞬だった。

兎田くんのピンク色の唇が私の口に触れる。可愛らしい兎田くんの容姿とは裏腹に兎田くんの唇は私の唇を覆った。やっぱり、兎田くんは男の子だと思う気持ちと共に、兎田くんは遊び人の噂は的中なのかもしれない。