私は2人に背中を押されて、紳くんのことを探した。

紳くんはどこにいるんだろう…。

紳くん…。紳くん………。

私は心の中から紳くんをずっと呼び続けた。


すると、そこには女子に取り囲まれている紳くんの姿があった。

紳くん……?


❁❀✿✾


「兎田 紳じゃん!兄の兎田 凛斗と同じで女好きの遊び人でしょ!ヤリまんだって噂なんだけど…。あれ、黙り込んじゃって」

「私たちのこと怖がってるんじゃない?」

「怖がってるって私たちを感じてるんじゃないの?」

「フフフッ、ヤリまんってイメージっていうか弟くんかわいいですけど」


俺は有名な兄と裏雑誌によって、またこうして、見知らぬ女性に取り囲まれた。そして、俺の腕を掴まれる。

「やめてください…っ」

「やめてだって〜!何かわいいじゃん!本当にヤリまん?」

俺は抵抗する。でも、女性でも4、5人にと囲まれたら男の俺でも逃げることができない。俺はそのまま、女性に捕まり、くぼみのある壁に押し込まれた。

「……っ、…じゃない…です」

「なんだって?」

「俺はヤリまんじゃ……」

俺は否定しようと言おうとした瞬間、叶華の声がした。

「紳くんっ!」

「叶華……」

「紳くんから離れて下さいっ!私の紳くんなんですっ!」

「何、この女の子?やっぱり、兎田 凛斗の弟だからって言う熱烈のファンか何かの子?」

「やばくない?なんかむっちゃ怒ってるんですけど〜」

叶華はとても憤った顔をしていた。

「めんどくさ」

と一人の女性が言って、俺から離れて行った。

「紳くん大丈夫?」

と叶華はとても心配げに俺に近寄って来た。俺はそんな叶華に対して、うれしい気持ちが沸き起こった。俺を助けてくれたからだ。

「…うん、叶華……、ありがとう」

俺はそう言って、叶華を抱きしめた。