「紳くん…、お願い。私ならいいよね。紳くんの隠してること教えて…」

「叶華…、それは嫌だ。できない…」

「紳くん、どうして?」

私は紳くんに聞く。紳くんは頑なに話そうとはしない。

「叶華に言ったら、叶華がいなくなりそうだから………」

「そんなことないから!紳くん!」

私はいつもとは違って、大きな声で言った。紳くんはそんな私に戸惑った。紳くんは私の手を振りほどくと、その場からいられなくなったかのような様子で、走り去った。

私は取り残され、立ち尽くした。

「日和!大丈夫か?」

「日和さ〜んっ!」

と私の元に奈義くんと須山くんが駆けて来た。

「奈義くん、須山くん……」

私は駆けて来た2人の男の子の姿を見て、私は涙を流した。

「私、紳くんのこと分かってあげれてないのかな……」

「日和………」

私はそんなことを呟くと、奈義くんが私の泣きながら震える背を優しく撫でてくれた。

「日和は十分、紳のこと分かってあげてると思うよ…。ただな、あいつ。気が弱いだけだから…」

「奈義くん……」

私は奈義くんの方に顔を向けた。すると、奈義くんの隣りでは須山くんがポロポロと泣いていた。

「そうだよ!日和さんは悪くないっ!日和さんは紳のことしっかり思ってあげてるよ!俺、見ててすごく思ったから!」

と須山くんは言って、私の両手を取って、上下に動かす。

「だから、日和さん。紳のことを探して…。そして、紳の気持ちを(いた)わってほしい。紳と一緒にいる日和さんは幸せそうだから……」

と須山くんはボロボロと泣いて言った。