教室に入ると、紳くんは今日もチャラい子たちに囲まれていた。

紳さ、こわいけどさ、いいやつだって俺知ってんだ〜!

と奈義くんが言って、紳くんの隣りで笑顔でカハハッと笑っていた。

みつると紳仲直りしたの?早くなーい

と取り巻きの女の子が笑って言う。紳くんは不機嫌な顔をしていた。

「みつると喧嘩した覚えないんだけど、俺……。仲直りしたって…、そんなの別に…」

「なんだよ!恥ずかしがって!俺らの絆は簡単には壊れねーだろ!俺はそんな紳のこと好きだぞ!」

と引け目になって言った紳くんに奈義くんは言って、紳くんにオラオラと紳くんよりも一回り小さい身体で紳くんの腕にグリグリとした。紳くんは奈義くんの行動に嫌そうにため息をもらしながらも、奈義くんと仲良さげに笑っていた。

私は心の中で、奈義くんは男の子だけど嫉妬した気持ちを抱いてしまった。小さい子のように初心な紳くんを痛めつけないで…。私は怒りが込み上げる。私はそんな自分の抱く気持ちにこわくなった。

朝から嫌なことばかり……。

……どうして、こんなにも痛いの…。

紳くんの彼女は私なの……。紳くんにほかの女の子は近づかないでよ…。私の紳くんなの。離れて…!


みんな離れてよ………っ!


私は涙が溢れてきて、目の前が涙の雫で視界がどんどんとボヤけていった。


動けない、言えない自分に嫌気も感じた。


由美ちゃんみたいにあっけらかんとできたらいいのに…。


どうして、私たちの関係は言えないんだろう。