紳くんの家どこなんだろう…。保育園の時は紳くん家と向かい合わせだったんだけど…。今は違うみたい……。私はそんなことを考えながら、いつもより早めの時間に登校した。そして、私の住んでいる日向が丘の坂を下ると、上に登ってくる一人の男子生徒がいた。制服は私の通う制服。私はもしかしてと足早(あしばや)に近づき、飛びついた。

「叶華……。今日、早く起きたの?」

「そうだよ〜!紳くん」

私は紳くんに頬をすり寄せる。紳くんはパァッと照れて、私の頭を優しく撫でた。

そして、紳くんは涙で目を濡らしながら、私は抱きしめる。

「叶華が俺の前からいなくなる夢見たんだ…。悲しくて、辛かった……」

「紳くん……」

そう告げる紳くんは真っ白で初心(うぶ)なうさぎのように見えた。紳くんが小さな子のように涙を流している。その姿に愛おしい気持ちになった。私は紳くんにしてもらったように、紳くんを優しく抱きしめ、少しばかりつま先立ちして紳くんの頭を撫でた。
そんな私の行動に紳くんはキョトンとした顔で見る。

「か、叶華………」

「紳くんかわいい。大好きだよ。私はいなくならないから安心して」

と不安げな紳くんにそう優しく安心させた。紳くんのことをこんなにも愛してる私がいなくなることなんてないもの。

私は強く言える。紳くんとの関係が絶対に無くなるようなことはしない!


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華奢で柔らかい身体が俺を撫でるのに背伸びして撫でる。その手も細く小さく、優しく撫でるんだ。俺は心の奥から不安な気持ちが吹き飛んだ。

「叶華……。俺も大好き……。叶華だけだよ」

俺は言う。俺にそんなことをしてくれる人は叶華。彼女だけなんだ。

俺はギュッと叶華を抱きしめ、頬にキスをした。天使のような可愛らしい頬が、どんどんピンク色に染まっていく。そして、ツヤツヤと赤く潤った唇が俺の顔に近づいた。

俺はその唇にキスをする。叶華の唇は何にも代えがたい、柔らかな、(なめ)らかな、唇だった。