昼食中、私はいつものように由美ちゃんと机を合わせて、お弁当を開く。

紳くんはなんだか、今日の科学での実験の時に須山くんと喧嘩と私を腕に抱き寄せてる姿に周りの子たちは紳くんのことをとんでもなく遊び人だと誤解が生まれた。地味で大人しい私にも手を出したということに大人しい女子からは今よりも警戒や距離を置く子が出てきてしまった。私はそんな光景に心がチクリと痛む。

でも逆にこれはいいことかな…。紳くんと近くでいられるようになるかな。私はそんなことを考えた。

すると、紳くんは奈義くんたちの囲いから離れて、私の方に悲しげな視線を向けて来た。

「紳くん……」

私は気づくと呟いていた。そんな私に由美ちゃんはえっ!!?という大袈裟な驚きの表情をした。由美ちゃんは怒りが込み上げてきたかのようにバッと立ち上がった。由美ちゃん、もしかして紳くんのとこに行く。そう思ったの。だから、私は急いで由美ちゃんの右手をギュッと掴んだ。由美ちゃんは目に涙を浮かべていた。

「叶華…、あんた兎田のこと好きになってるわけないよね!」

由美ちゃんは声を張り上げて言う。クラスのみんなも私たち2人に視線が向いた。

「ゆ、由美ちゃん……」

その様子を見た紳くんは悲しげに澄ました顔で教室を出て行った。

私は自分の唇をギュッと噛んだ。変えられないこの状況に歯がゆさが私の心を覆った。

紳くんはそんな遊び人じゃないのに…。どうして………。

私は紳くんが大好きなの。この気持ちを公に言えないこの悲しさは紳くんも同じかな。