-キーンコーンカーンコーン

今日も帰りのSHRが始まった。

そして、先島先生の話しが終わり、みんなが立ち上がり、教室を出ていく。私はSHRの終わりのチャイムをしっかりと最後まで教室で聞き終えた。由美ちゃんは部活の吹奏楽部へと行くために私に「またね!叶華」と言って、教室を出て行った。

私は今日も大好きなマンガを取り出す。

「なぁなぁ」

と私を呼びかける男の子の声が私にかかった。そして、私の下ろしている栗色の髪を後ろに引っ張られた。その勢いに椅子も大きく動き、後ろの席のこの机に引っ付いた。

「あっ、イヤッ。や、やめて」

私は引っ張られるまま後ろに顔をやると、そこには兎田くんがいた。兎田くんはどこか小さい子のような不服そうな顔を浮かべている。

「と、兎田くん…、何……!!」

私は大きく返事をして、マンガで顔を隠し、目だけ見せる。兎田くんは意地悪な子なのかな。でも、今日助けてくれたよね…。

兎田くんは私の後ろの子の席に座った。そして、兎田くんは私の方に顔を向けた。

「お前さ、疎すぎんだよ。叶華……、覚えてる?」

「覚えてるって…。何を?」

兎田くんはさっきとは打って変わって、真剣な顔になる。そして、一時、黙り込んだ。

私はなぜか、その沈黙に一気にドキドキと鼓動が大きく脈打つ。兎田くんを前にするとドキドキし過ぎて、心が痛い。それと、輝いて見えた兎田くんを前にすると、2人でいる想像していなくて、涙が込み上げてくる。