帰りのSHR、ガヤガヤとしていた教室は気付いた時には終わっていた。静まり返った教室に私は1つのマンガを取り出す。そう大好きな漫画家さんの人気なラブストーリーの『君が大好きだ』を。このマンガは私が小さい頃から今でもずっと続いている。このマンガに出てくる男の子が私の推し。ヒロインの女の子のことを小さい頃から好きな一途な男の子なの。もうそこが可愛くて、純粋な男の子!ヒロインの女の子と男の子が結ばれる日までの出来事がドキドキなかわいい物語。

私は続きの完を今日読むの。フフッ、楽しみ!

マンガを開いた瞬間、私の頭にぐしゃぐしゃに丸められたプリントが当たった。私は、びっくりして飛んできた右後ろに振り向く。

すると、そこには教室の窓から差し込む夕暮れの太陽に照らされた男の子がいた。綺麗なミルクティーベージュ色の髪の男の子。

「お前、それ読むんだな。そのマンガ好きなの?」

「えっ!…うん」

私はびっくりしながらも返事を返す。太陽の眩しい光りで、男の子の顔はよく見えなかった。ただ見えたのは健康そうな色白の肌とかわいい笑顔だった。

なんだか恥ずかしい気持ちになった。現実の男の子とは話さないし、男の子に慣れていない。それとその男の子の笑顔にドキッとしちゃったから。

私はマンガに顔を戻そうとした時、男の子が近づいて来た。私の顎をグイッと持ち上げる。

「そのキャラさ、お前みたいだよな…」

と男の子はどこかイタズラな笑みを浮かべていた。

私は、あまりの事態にパニックで男の子の手を振りほどき、走り去った。

そんなこんなで私は泣いていた。ポロポロとつたう涙が熱い…。

恋愛に憧れはあっても現実の男の子との関わりに苦手意識がある私は無理かもしれない。さっきの男の子の顔すらしっかりと見れていない。

────────そんな今日のこと。次の日からこんなことになるなんて、私は想像にもしていなかった。