「これで僕の勝ちだね」


勝ち誇った顔で蘭太郎(らんたろう)が告げる。
私はその顔を呆然を見つめた。

同年代にこの私が、この北園蓮月(きたぞのはづき)が負けた…?

その衝撃に動揺が隠せない。


「全国小学生将棋大会高等部部門優勝は南蘭太郎(みなみらんたろう)くんです!おめでとうございます!」


表彰台に上がっている彼を見て涙が止まらない。
負けた。

負けたんだ。

悔しくて、悔しくて、悔しくて涙が止まらない。


「準優勝は北園蓮月ちゃんです!おめでとうございます!」


名前を呼ばれても一向に壇上へ上がらない私を見て、両親が壇上に上がるように催促してくる。
司会者の人も「北園蓮月ちゃーん!壇上までお越しください!」と大きな声で催促してくる。
その言葉に私は泣きながら大きな声でこう答えた。


「準優勝なんていやああああああああああああ!」


そんな出会いを経て十年。

今日、私は十年ぶりに彼と対峙する。