君が助けてくれた夜

「ゆう、た…」

私は優太の隣に平然と立っている

立花さんから目が離せないまま

小さく声を漏らした。



すると優太は

手に持っていた少し大きい紙袋を私に差し出して












「ごめん、もう別れよう」












そう冷たく言い放った。



















私は差し出された紙袋を受け取りたくなかった。









中身が何かわかっていたから。














中身はきっと悠太の部屋に置いていた

私の着替えや日用品だ。










受け取ってしまったら

別れを受け入れる事になってしまう。







だから私は受け取りたくなかったのに

優太の後ろに見える立花さんの

私を憐れみながら見る目が痛くて



私のプライドが

別れたくないという気持ちを押し倒して

紙袋を受け取っていた。














あくまでも平然と



傷ついてませんよという顔をして。









「わかった。今までありがとね」








そう言えば

少しは悲しい表情を見せてくれるかと


期待した私がいけなかったんだ




 


私の期待とは反対に

優太は少し安堵した顔をした。










その表情がまた私を傷つけた。










紙袋を受け渡した優太は

その空いた左手で

立花さんの右手を握り

公園を後にした。











2人が仲良く並んで歩く後ろ姿は見ていられなかった。













「ふたり、お揃いの指輪してたなあ…」














歩く気力も無くなった私は





ポツポツと降り始めた雨に気づきながらも




しばらくベンチに座ったまま


動けなかった。