「もう、夜遅くに出歩いちゃダメだからね。」


そう言いながらわざとらしく頬を膨らませて言う西園寺に、紡木は「分かりました。」と素直に返事した。


「でも、どうしてもって言うんなら、僕を呼んで。」

「…ええ?」

「僕と一緒なら、何があっても僕が守るから。」


自分を真っ直ぐに見つめる西園寺の言葉に、紡木は照れを隠すように「それって、保護者みたい。」と笑い飛ばした。

西園寺はそんな紡木に「はは…。」と苦笑いを浮かべた。


結局僕は男として見てもらえてないのかな…。


心の中でしょぼくれながら彼女がマンションのエレベーターに乗ったのを確認すると再びタクシーを呼んだ。