「先生!」
不意にガラガラと開くとの音に、反射的に身を強ばらせたが、すぐに男の声だと理解して西園寺は身を緩めた。
「あの、えっと、コイツ、紡木っていう、俺と同じクラス、あ、3-5なんですけど。」
明らかに動揺しているその声に、西園寺は気になって耳を傾けた。
「あの、俺が、睨んだら、恐怖のあまり、気を失って…!」
そんなことあるのかと、西園寺は思わずぶふっと吹き出しそうになって、一生懸命堪えた。
「あらあら、後は先生が介抱するから、とりあえずベッドに下ろしてくれるかしら。」
そう言う先生の声の後に、隣のベッドが軋む音がした。
あれ、本当に気を失ってんの?
…やばくないか??
そう西園寺が不安に思ったのと同時に、カーテンが閉められる音がした。
紡木さん。
なんかクールで、近寄り難い雰囲気のある子。
でも実は、他人のことを意外と観察して気にかけてくれる子。
2年の時から化学を担当しているが…成績はあまりよろしくない子だ。
そして僕に群がってこない数少ない女子生徒。
そればかりか距離すら感じる。
頭の中で反芻した後に、先程とは違う緊張感を西園寺は感じた。

