「…つむちゃん、私今から告白してくる。」
下駄箱の手前の分かれ道で由梨がそう決心したように言った。紡木は何も言わずにただ頷いた。
頑張って、も、応援してる、も、うまくいくといいね、も何を言えず、ただ屋上へと続く廊下を歩く由梨の背中を見つめた。
暫くしてからグラウンドへ向かうと、すでに後夜祭は始まっていたようで、激しいバンド演奏がグラウンドに鳴り響いていた。
紡木は適当に椅子に腰掛けてステージをぼーっと見つめていた。
由梨ちゃんと西園寺先生、どうなっちゃったんだろう。
先生は由梨ちゃんの告白をOKしちゃうのかな。
…そんなの、
紡木が心の中で呟いていると、空に花火が打ち上がった。
紡木は驚いてそれを見上げた。
そういえば、先生と花火見たっけな。
『…浴衣、その…素敵だね。似合ってる。』
そう言って照れ笑いを浮かべる西園寺を思い出して、紡木は胸がちくりと痛んだ。
もう、そう言ってくれなくなっちゃうのかな。

