紡木はぼーっと無機質な白の天井を見つめていた。
私、勝手に男性恐怖症が治ったかと思ってた。
西園寺先生に抱きしめられて寝たあの日。
こっそり先生の手に触れたあの日は確かに何も起こらなかったのに…。
西園寺先生…。
本当に、由梨ちゃんのこと好きになっちゃったのかな。
ずっと、先生は、私のこと好きでいてくれるって思ってた。
先生だけは、私だけを見てくれるって信じてたのに…。
心の中で呟くたびに、天井が涙でぼやけていく。
信じてたって、何よ。
別に私は先生のことなんか…好きじゃないのに
信じてたのに、なんて自己中すぎる。
自分が由梨ちゃんに嫌われたくないからって、由梨ちゃんの恋を応援して、
今日だって自分の意志で2人きりにしたのに
なんでこんなに悲しいの?
もう自分が分からないよ。
紡木は布団にくるまって声を殺して泣いた。

