西園寺先生は紡木さんに触れたい


「何で泣いてんの?」


いつの間にか横にいた牧野に不意にそう聞かれた紡木は、思わず「いや、大丈夫。」と言ってその場から去ろうとした。


「ちょ、ちょっと。」

「…あ。」


牧野は驚いて紡木の腕を掴むと、彼女は思わず声を上げた。


皮膚から直接伝わる牧野の体温にぶわあっと心拍数が上がり、まずいと思った時には既に腕にぷつぷつと蕁麻疹ができ始めていた。


「ごっ、ごめん!牧野くん!」


紡木は思いっきり牧野の腕を振り払うと、頭上に?を浮かべてる牧野を置いて無我夢中で保健室へと駆けて行った。







「紡木さん…大丈夫?」


保健室に入ると、青ざめた表情の紡木を見て色々と察した保健医は、心配そうな顔を浮かべながらもベッドに横たわるように促した。


紡木はベッドに横たわると、「すみません…。」と力のない声でつぶやいた。


「大丈夫よ。お水、ここに置いておくから飲んでね。吐きたくなったらこっちの洗面器ね。」


保険医は手際よくそれらを用意してベッドサイドに置くと、「何かあったら声かけてね。」と柔らかく笑ってカーテンを閉めた。