「あ、ここがお化け屋敷か〜。」
2人を見送ってすぐ、わざとらしくそう呟く声が聞こえた。
嫌な予感がしつつもその声の方を向くとそこには笑顔を浮かべた西園寺…と、そんな西園寺を見つめる由梨がいた。
「紡木さん、一緒に行かない?」
紡木に近づいて、彼女にしか聞こえないほどのボリュームで囁くように誘う西園寺に、紡木は気まずそうに視線を逸らして、「私、もうシフト交代の時間なので…由梨ちゃんと行ったらどうですか。」と返した。
西園寺は少しの沈黙の後、諦めたような声で「…わかった。」と言うと、案内係に連れられるがまま由梨と教室内へ入っていった。
紡木は駄々をこねるんじゃないかと勝手に思っていたので、あっさりと手を引く西園寺に拍子抜けをした。
いや…別に期待していたとか、そういう訳じゃ…ないよね?
いつもの先生と違うから、ちょっと驚いただけ。
紡木は必死にそう言い聞かせた。

