それって…
私のこと…??
西園寺の視界には紡木しか見えてないことなど全く気づいてない由梨は、とんでもない勘違いを起こしてしまった。
あ、またもう1人来た…女の子…?
…男と手を繋いだ。
なんだ、アイツとあの女の子が付き合ってるってことね。
まあ紡木さんを名前で呼び捨てにしてる時点で、僕にとっては許し難いこと…
西園寺はぶつぶつと心の中で呟きながら、ふと目の前に座る由梨へと目を向けた。
見慣れたその輝きに満ち溢れた視線に、西園寺は苦笑を返した。
それを穏やかな微笑みと勘違いした由梨は更に顔を赤らめて西園寺を見つめた。
「あの、えっと…。」
いつの間にか西園寺の側に立っていた紡木が、2人に声を掛けた。
「私、中学の時の親友が今来てて…3人で回るのであとは2人でどうぞ!」
西園寺が紡木を見上げると、彼女はわざと明るいトーンでそう言ったかとおもえば、西園寺が口を開く前に颯爽と教室を後にした。
「つ、紡木さん…。」
せっかく一緒に文化祭を楽しめると思っていた西園寺は、どんどん遠ざかる背中にそう呟くことしかできなかった。

