「私…目が一重なのがコンプレックスだったの。
それを先生に何気なく話した時にね…。」
とある日の放課後。
西園寺争奪戦に打ち勝って由梨とその友人が物理の勉強を教えてもらっていたが、友人がトイレで席を外して2人きりになった時。
「これがこうなって…わかる?」
不意に教科書を見ていた西園寺の瞳が由梨に向けられた。
その大きく綺麗な瞳に、由梨は思わず「先生の目、おっきくて綺麗ですね…。」とため息をついた。
西園寺は由梨の突拍子もない言葉に苦笑いを浮かべて「そうかな?」と返した。
「私は一重だから…目も小さいし…。」
そう言って自嘲しながら呟く由梨に、西園寺はニコリと笑った。
「吉田さんは瞳キラキラしていて綺麗だよ。だから、一重だからって気に病むことないんじゃないかな…。」
瞳が、綺麗…私が…?
「そもそも瞼に一本皺が入っているかいないかでその人の本質なんて変わらないだろうし…。」
そう付け足す西園寺の声は由梨の耳には届いてなかった。
ただ、初めてコンプレックスである目を綺麗だと言われたことが胸にじわじわ響いて…気づいたら、好きになってた。

