「いや、ゆーちゃんの話はしてないし」
「どうにしろだよ。お前の瑞花ちゃんに対する態度は彼氏らしからぬものだからな」
「へー、でも僕瑞花の彼氏じゃないし」
「つ、ちょ、言わないでね、静生、」
僕と瑞花は付き合っていない。しかし恋人と同じような関係ではあるわけで、僕たちは今年の僕の誕生日に籍をいれる。
すなわち、婚約者というわけだ。
でもまだ言わない。僕の誕生日の日に伝えるつもりだ。
「俺は心配なんだよ。カッコいくて文武両道ではあるけど、瑞花ちゃんには優しくない静生がさあ」
「優しいよ僕、ね、瑞花?」
「え、うん。別に優しくないなんてことはないけど、でも」
「でも?」
瑞花がでも、と否定する言葉を使ったから、ゆーちゃんも、ゆーちゃんの彼氏の蘭も、気になってしまったようだ。
「でもね、時々私の言うこと聞きすぎちゃうときあるから、なんとかしてほしいんだよね」
「………え?」
「それにね、ごはんとか、お風呂とか、休みの日は全部やってくれようとするの。私一人でもできるのに」
「………いや、は?」
瑞花の言葉に二人は驚いているようだ。あんぐりと開けた口がそれを物語っている。
そうなんだよね、とでも言いたげな表情を二人に見せつけた。
僕は人前では甘やかさない主義なんだよ、ってことにしておこう。

