いつもとは違う日になるかもなんて、思わなければよかった。



「痛っ!」



俺が痛がっていると「ごめん!」とぶつかった相手が俺に必死で謝ってくる。



「悪い、こんな大事な時に」



俺のせいでは無いが、一様謝っておく。



なぜならそれが普通のことだから。




「気にすんな!」とか「お前は怪我のことだけ考えろ!」とか、いろんな言葉が飛び交う中。




「家には電話入れたから、病院行くぞ」




「ありがとうございます。監督」




俺が腕を抑えながら立つと、監督は俺以外は部活に戻るように言った。




みんながバラバラと準備していく中、俺はグラウンドの隅を歩いていた。




「堀谷、お前にはキャプテンとして頑張れとは言ったが。それは、気を張れってことでは無いからな」




監督の言葉を理解できずに、「はい」と返事をした。