「若が正しいと信じて疑わないことです。それさえ忘れなければ、何も心配は要りませんよ」

スーツのネクタイはわりと派手目だけど、何だかお医者さんに言われてるみたいな安心感。

「・・・生きていれば、沢崎さんも同じことを言った筈です」

付け足して玉置さんが淡く口角を上げた。



お腹にそっと掌を添えながら。まだきっとすごく小っちゃいはずなのに不思議と確信できる。ああ、ここに赤ちゃんがいるって。

父親になるって言ったらどんな顔するかな。・・・陶史郎さん、本気で赤ちゃんと取り合いする気かな。

困ったお父さんだね。クスリ、笑みが零れた。困るのに、胸の中がほころんで仕方がなかった。



FIN