俺のクラスには”クラゲ”と呼ばれる

少し、


いや、

かなり変わった子がいる。


”クラゲ”は刺されるといたいし、

あんまり好きじゃないから


なんとなくだけど、

クラゲじゃなくて

俺は”海月姫”って呼んでる。



俺にしてはいいあだ名を付けたと思う。






その海月姫が喋ったところも、

笑ったところも、

感動しているところも、


俺はまだ見たことがない。



俺だけじゃない。

このクラス、

この学年、

この学校、


誰も見たことがない。




それは彼女が目立たないからだ、とか

そんな理由ではない。



なぜなら



彼女は成績優秀で、いつも学年トップ。


彼女はそこそこ有名だ。




つまり、


みんな彼女の表情に興味がないわけではなく、


彼女がみんなに表情を見せないのである。