ここまで行きたいと言うゆずくんは珍しい。





いつもならすぐに諦めるのに。





それくらいデートしたいってことだよね。






付き合ってからずっと、出かけたことなかったし。





私たちが結婚出来るくらいの年齢になれば、デートをして週刊誌に撮られても、交際しているって言えるけど、今はまだ中学生。





私たちの交際はお子様程度だけど、お互いを好きと想う気持ちは大人にだって負けていない。





それでも信じてくれない人、笑う人だっている。





それでも私たちは真剣に恋をしている………。





「うん。私もゆずくんとデートしたい…!」





だからこそ、今の時間はとても大切だ。





デートを重ねて互いを知って、これからの2人の未来について考えることだってできる。





「じゃあ約束。ココからキスして?」





これが狙いだな。




ふふ。まあ、今日はいいか。





その細い唇に軽く触れると、瞬時に腕が回ってきてそのまま深いキスが返された。





「…ちょっと。ゆずくん?」





イタズラな笑みを浮かべて髪をサラサラと触り、頬に触れてまたニヤッと笑った。





ドキドキが聴こえるんじゃないかって思うくらいの距離。




吐息が当たってますます体温が高くなる。





「ココが油断するからだよ?」



「もう…!」



「嫌だった?」




シュンと悲しそうな顔をするゆずくんはずるい。




そうすると私が許してくるって思っているから。




「嫌じゃないです…」





恥ずかしさのあまりつい、敬語になってしまった。




「敬語になってる。可愛い」




柚弦の柔らかい唇が再び心絆の口に触れた。






夕飯を食べたあとは、デザートにマドレーヌを一緒に食べた。




私は控えめに…。





そして数週間後。




ようやく休みが取れたゆずくんとデートする日がやって来ました。