夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。


メッセージが返ってきたのは

夜だった



〔まだ生きてた〕
〔オマエは?体調どぉ?〕



〔変わらないよ〕



変わったのは

変わっていくのは



ウサギに対する気持ちだった



会いたいな…

会えないと尚更その気持ちは強くなる



ウサギからのメッセージ

途切れた



コレで終わりか

全部で4行で完結した



質問系にしたら

返ってくるかな?



指を画面に置いたら

ちょうど着信画面に変わった



《ウサギ》



あ、出ちゃった



「もしもし…」



「もしもし…」



「あ、電話しても大丈夫だった?」



「うん、個室だから平気だよ」



耳が熱くなる



ウサギの声に



「あちー!今日も暑かった」



変わらない

元気な声



「バイトだったの?」



「今日は海行ってきた
背中真っ赤なんだけど…
イテテ…
服着ると痛くて着れねー」



ウサギがいる場所が

すごく遠く感じた



今って夏だったね

ここにいるとちゃんと季節も感じられない



窓から見る景色は

映像みたいに感じる



「楽しそうだね」



「オマエ人の不幸を喜ぶな!イッテー…」



「いいな…海…
私も行きたかったな…」



ウサギは

私じゃない他の誰かと行っちゃった



別に私と映画とか

私と海とか



私じゃなくても

誰でもよかったんだ



「オマエが退院したら行こうよ」



「うん、でも夏終わってるし…

映画も行ったの?」



「映画は行ってない
オレ映画とかあんま観ないし…
オマエどんなの観たいかな…って…」



「それも私が退院する頃には
上映終わってるよ
観たいのあったら誰かと行ってね」



「んー…
オマエ、そんな悪いの?」



「…」



ウサギの質問に答えられなかった



「あ、ごめん
またなんかいるのある?
あれば持ってくから…」



「ないよ
もぉ、何もいらない」