夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。


「あ、またハズレだー!」



「なに?」



子供の頃から

この当たり付きお菓子の当たりを当てたくて

何箱買ったか…



かなり売り上げに貢献してると思うよ



当たると宝箱がもらえるらしい

中身は非公開



SNSで当選者が中身を公開してたりするのも

見たことない



当たってる人いない説



大学生になった今では

そんなの欲しいわけでもないけど

たぶんムキになってる



「この当たり付きのお菓子ね
子供の頃から当てるの夢なの」



「夢…?
そんなこと?」



「そんなこと?
そんなことじゃないし!
だって私、まだ当てたことないもん!」



「夢…って大袈裟だと思って…
そんなのオレが当ててやるよ
次のバイト代出たら、箱買いしてやる
そしたらすぐ当たるだろ」



「ホントに?」



そんないい話ある?

いい話には裏があるんだよ



「うん、ホントに!

オマエって、わかんねーな
冷めてると思ったら
そーゆーとこ、かわいいし…」



そーゆーこと

サラッと言うし…



「あやしい
やっぱり詐欺?」



「さぁ、どーでしょー」



「お菓子ホントに買ってくれる?
そこは詐欺じゃない?
あとから多額な請求とかないよね?」



「オマエなぁ…
さっきから詐欺ってなんだよ
買ってやるよ!
誰が詐欺師だよ!」



夢の話

初めて誰かに話した



やっぱり

バカにされた



だから今まで

誰にも言わなかった