「今日で死ぬセミもいるのかな?」
ウサギが
窓の外を見ながら言った
「オマエ言ってたじゃん
7日しか生きれないって…」
「うん…」
ウサギが目を閉じて手を合わせた
「なんか
申し訳なくなる」
「ん?なにが?」
「オレなんかが生きてて…」
「ウサギは…
ウサギは、死にたいの?」
オレ、どーせ死ぬから…
なんでそんなこと言うの?
「死にたいわけじゃないかもしれないけど
生きてたって…って、思う」
「楽しいこととかないの?
なんか、夢とか…目標とか…」
「特に…ないかな…
…
今は、オマエのお菓子が
早く当たればいいな…って切実に思ってる」
ウサギの乾いた笑い
たまに
寂しそうに笑うよね
「くだらないってバカにしてたのに?」
「だってオレの部屋占領されてくし
バイト代だって…」
「うん、だからもぉ大丈夫だよ
ウサギには頼らない
…
私がお小遣いで買える範囲で叶えるから…
別に私は急いでないの
一生かけて叶えるから…」
「一生かけて…って…
そんなまた壮大な言い方してるけどさ
明日死んだらどーすんだよ
…
オレの親だって
オレがサッカーの背番号もらって
初めての試合の前の日に
交通事故で死んだから…
…
明日とか…
一生とか…
オレ、信じらんね」
そーなんだ…
そーだったんだ
だからウサギって
後ろ向きなところあるんだ
どーせ死ぬとか
誰も心配してくれないとか
オレなんかが生きててとか
「そーだね…
…
私も、明日
死ぬかもしれないしね…」
手術しないで
ここまで生きてこれた
でも
ウサギの言うとおり
明日はわからない
でも
手術するのもこわい
「なんだよ
オマエらしくねーな」
「んーん…ごめんね
ウサギのこと、何も知らなかったのに…」
「オレこそごめん
病院でこんな話、不謹慎だったわ
…
あ、オマエ最近髪伸ばしてんの?
この前も結んでただろ
ミチュのしっぽみたいで…
あ、ミチュってオレが飼ってた猫なんだけど
しっぽがオマエの結んだ毛先みたいだった
かわいかったな…って思い出したんだ」
ウサギが
私の結んだ毛先を触った
無理矢理結べるくらいの長さになった
人生初の長さかも…
「退院したら美容院行かなきゃ…」
「なんだ
伸ばしてるわけじゃないんだ」
どーなんだろ?
ウサギは長い方が好き?
「切らない方がいいかな?
ミチュのしっぽ」
「別に…オマエ、ミチュじゃないし…」
あ、そーですか
「だよね
退院できるかもわかんないし…
…
ずっと退院できなくて
すっごく長くなったりして…
…
あ、明日死んだら
この長さのままだね」
「そんなこと言うなよ!
オマエがオレを頼ってなくても
明日も来るからな!
ちゃんと生きてろよ」



