「いただきます」
「どーぞ…
あ、ワインもあるよ」
「ワイン?
どーした?
今日、すごいごちそうだね」
「うん
だってウサギにプロポーズされたから」
「プロポーズって…
時期をみて、もっとちゃんとするし」
「なんだ…」
「や、でも、ホントだよ
傘に書いたことは」
『いつか結婚しようね』
「いつかって…いつ?」
「いつか…
いつかって、いつだろう」
「ひどーい!
ウサギ、ちゃんと考えてないの?」
「考えてないわけじゃないけど…
…
ちゃんと就職して…
ユメカが大学卒業して…
…
仕事にするつもりはないけど
空も一緒に飛びたいし…
…
でもユメカのことは
これから先も
ずっと好きだから…」
「うん…なら、いいよ」
かわいい
ユメカ
「当たりが出てから
なんでも夢叶っちゃうんだよね」
「当たりって…?
あー…オレが入れたヤツね」
「カレシできたし
手術もうまくいったし
同棲して
結婚もできちゃうかもしれない」
「でも結局、本物の当たりは出てないよな?」
「あー…そー、だね…」
「また買ってやるよ
当たりが出るまで買ってやる」
「え、いいよ」
「なんで?
オマエの子供の頃からの夢だろ」
「ウサギ、お菓子食べすぎて太っちゃうかもよ
だから、もぉいいの」
「なんで?
オレが諦めたくない!」
「ウサギの気持ちだけで充分だから…」
「あの当たり
結構がんばって作ったんだけどな…
なんでオマエ偽物って気付くんだよ」
「え、なんでかな…
たしかに上手くできてたよね」
ん?
ユメカ、なんか隠してる?
「宝箱もらえなくても
宝物みつけたから、いいの!」
「宝物?なに?それ…」
「ウサギ!
私の宝物!」
「じゃあ、やっぱり宝箱も必要だな
…
そのうち、家族増えたら
このアパートじゃ狭くなるし…
…
まだ先だけど
宝物を入れる宝箱いるだろ」
「すごい…
どんどん夢が叶ってく…
…
ウサギの当たりって、すごいね!」
「だろ」
ユメカが幸せそうにするから
オレ
また頑張ってしまう



