夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。


「でさ…
オレ、この前、後悔したことある」



「ん?この前?なに?」



「別に、そーゆーの目当てとかじゃないけど

オマエが帰って来てからでもいんだけど

1年て結構長いな…って…

や…キスとかしたら
もっと好きになったっていうか…

オマエが言ったとおり
しなかったら後悔するかな…とか…

他の男がオレより先に
ユメカの身体触るとか
医者でもなんか許せないかな…って…

あ、ごめん…

でも考えたら
気持ちが押さえられないっていうか…

まぁ、オレも男だから…

だから…」



ウサギの言いたいこと

ウサギのしたいこと

わかるよ



「うん…
私も、女の子だよ

恥ずかしいけど
好きな人と、してみたいよ

ウサギがいいよ」



この前は

抱き合っただけだった



それだけでも

幸せだった



「ユメカ…好きだよ」



耳元で

私の名前を

好きな人が呼ぶ



もっと

好きになる



「私も好き…」



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優しく触れる

唇と

指先と



体温と鼓動



緊張感と

心地良さ



好きな人に抱かれるって

女の子の夢だよ



ウサギが私のパーカーを捲った

正確に言うと弟のパーカーだけど



「ウサギ、やっぱり恥ずかしい…」



腕で胸元を隠した



「オマエ、ズルいな」



「なにが?
ズルいのはウサギでしょ
ウサギも脱いでよ
私だけ、恥ずかしい」



「弟の服の下は
ちゃんと女の子とか…ズルい
詐欺じゃん」



「詐欺って…
ウサギに言われたくないよ」



「誰が詐欺師だよ」



笑いを含みながら



ーーー

ーーー



ウサギの唇が

私の身体を沿った



「くすぐったい…」



「やめる?」



「ん…やめない…」



今日

私はウサギに抱かれなかったら

一生後悔する気がした



「ユメカ…大好きだよ…」



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シャツを脱いだウサギの首元が赤かった



ずっと私の手

握ってくれてる



ウサギも

緊張してる?



「私も大好きだよ」



ーーー



ウサギの首にキスした



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ウサギのキスが

おちるたび

身体が熱くなった



「ねぇ、手術とどっちが痛いかな?」



ちょっとだけ

不安になる



「オレ、どっちも経験ないから…」



「そっか…
痛く、しないでね…」



「麻酔してするから、大丈夫…」



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ーーー

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ウサギの

優しい麻酔で

もっと身体が熱くなる



「ユメカ、こわくない?」



「うん、こわくないよ」



ウサギにギュッて抱きついた



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ウサギが

優しくて

温かいから

大丈夫だよ



「ウサギ…

初めて…こんな気持ち…」



「どんな気持ち?」



初めて

人を本気で好きになった



ウサギになら

何されても嫌じゃない



痛くても

大丈夫



こわくない



少しの不安が

大好きに変わる



「ん?
きっとウサギも、同じ気持ち」



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