夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。


ウサギに出会って

もぉすぐ1年



このアパートにも

何度も来た



帰って来たら一緒に住まない?



ウサギ

そんなこと考えてくれてたんだ



ウサギが短くなった私の髪を

耳に掛けた



くすぐったいけど

心地いい



もっと触れてほしいと

思ってしまう



「髪、似合ってるよ」



「ホント?
私ぽいって
さっき言ってくれたけど
男ぽいって意味だった?」





途中で変えたよね?



「いや、そんなこと言ってないって
オレが好きになった時のユメカ」



「え?」



「前向きで
ちっぽけな夢だけど
それを叶えようとしてた

かわいかった

オレにないものを持ってて
この子、好きだな…って思った

一緒に夢叶えたいな…って思った

短い髪を耳に掛ける仕草にドキドキしてた
ちょっと結んだ髪もミチュみたいで
かわいかったし」



「ふーん…そーなんだ」



恥ずかしい



「ユメカ
絶対、手術成功するよ」



「うん…」



「一緒に行けないけど
ずっと、気持ち変わらないし
ずっと、待ってるから…」



「うん…」



「オマエも後悔すんなよ
オレのこと好きになったこと」



「うん…」



「向こうに行ってさ
他に好きなヤツできたり

オマエって飽きっぽいからな…

帰ってくる頃は
オレのこと忘れてたりして…」



「そんなこと、ないよ!」



「うん…
そんなことあったとしても
オレは
オマエが好きだから

ずっと好きだから…」



「うん、ウサギのこと信じてるね」



ホントに信じていいよね?



ウサギは

詐欺師じゃない