夢みる少女は、寂しがり詐欺師に騙されない。


「ウサギ…

もし戻ってこれたら…

もしその時
まだウサギが私のこと好きでいてくれたら
ウサギのカノジョにしてもらいたいな…
なんて…
都合のいいこと考えたり

ウサギのこと
ずっと好きでいたいから
それにはどーしたらいいかな…って
ずっと考えてて…

こわいけど…
すごく、こわいけど…
手術してみようかな…って…

いっぱい考えて…
ずっと考えてて…」



「そんな大変なこと
ずっとひとりで考えてたの?」



「うん…」



「なんで相談してくれなかったの?

オレのこと好きとか
それだって…」



「こわくて、言えなかった

好きになればなるほど
言えなかったし

好きになればなるほど
こわかった

人を好きになるって
そーゆーことなんだね

あ、今言った話は
もし私が帰って来なかったら
全部忘れてね」



「オマエさ…」



またいつものように

ウサギに説教される



夏休み入院してから

後ろ向きな気持ちが多い





いつもウサギに

叱られる



前は

逆だった気がする



ウサギの口から

死ぬ死ぬ詐欺は聞かなくなった



「手術、こわいの?」



アレ?

今日は説教じゃない



「ひとりで
ずっと不安だったよな?」



ウサギの優しい声に

安心する



「うん、ずっとこわかった

明日ウサギに会えなくなったら
どーしよ…って…

ずっとウサギの近くにいたいのに…って…

考えたら、こわくて…不安で…

死にたくないよ…ウサギ…

生きたいよ…ウサギ…」



映画のエンディング曲が流れた



映画館で観た時は

涙なんか流れなかったのに



気付いたら

ウサギの胸で

泣いてた



「ひとりじゃないよ

大丈夫だよ…ユメカ…」



私の背中を

ウサギの優しくて大きな手が

撫でてくれる



この人は

いつも

優しい



いつも

私のために



叶えようとしてくれる



私の夢を