そっかぁ。

恋の始まりってそういうもんなんだ。

理由もないのに好きになるなんて、ちょっぴり後ろめたい気がしてたんだけど。

「松川くんのこと、まだあんまり知らない?」

「うん。全くっていうほど。」

「じゃ、私リサーチかけてみるわ。もちろんナツミが、ってことは誰にもわからないようにするから。」

「わぁ、サンキュ。なんだかドキドキしてきたよー。」

私は高鳴る胸を両手で押さえた。

松川くん。

どんな人なんだろう?

私はまだ松川くんのこと、全然知らないんだもん。

もつべきものは、やっぱり信頼できるマヨみたいな友達だわ。

私も食べ終えたパンの袋を紙袋に詰めた。

「マヨは?株山先輩とつきあっちゃうのかなぁ。なんか想像できないけどね。」

「ん?想像できない?確かに今の状況では私もまだ想像できないけどさ。確かに、同じ部内で付き合うと、後々面倒くさいことにならないかなぁなんて思ったりもするんだけど、私は今の気持ちに正直に生きる方が好きだから。」

「うわっ、かっこいい!じゃ、オッケーの返事伝えるのも時間の問題かな?」

「あはは。どうかなぁ?私も移り気だしぃ。気が変わっちゃうかも?でも、またちゃんと株山先輩に返事言えたらナツミには一番に報告するからね。」

「ん、待ってる。」

私は買ってきた冷たいオレンジジュースの残りを思いっきり吸った。