「やっぱりここに居たんですね」
「おー、春野!」

振り向いて手を振る先輩は、いつもとなんら変わらない無邪気さを浮かべている。

「体育館の片付け、もう終わったん?」
「なんか、残りは先生達でやるからって早めに解放されました」

私は地べたに寝転ぶ先輩の隣に腰を下ろす。イグサの香りがほのかに鼻をくすぐる。

写真部室は、数年前に廃部になった茶道部の部室をそのまま引き継いでいる。床には畳が敷かれっぱなしのまま。

「先生達、案外気の利いたこともしてくれるんだな。普段は鬼みてーに厳しいのに」
「それは先輩が問題児だからでしょう?」
「うっわ、さりげなく貶されたー!」

アハハと快活に笑う先輩の横顔が、傾いていく西日に照らされてキラキラと輝いている。

笑い声に合わせて揺れる髪の毛が、光を反射して金色を帯びている。

私はさりげなく先輩を見つめる。

何度も見てきたこの光景が、今は特別で仕方ない。

「最後まで、お前は真っ直ぐなままだな」
「そう、ですか?」

しみじみと言う先輩への返事に少し詰まる。