あの春を、もう一度。

「えーと、模造紙はどこだったっけ」

折角早くに来たんだから、ある程度のことは済ませておこうと、私は材料を探して部室の端から端までをうろちょろする。

「あとは、色画用紙…あっ!」

あれって確か、青井先輩の持ち込み品だったよね。だったら持って帰ってるはずだから、ここにはない。うっかりしてた…。

今からみんなに連絡してももう家を出てるだろうし、新部長もかなりのうっかり屋だから運良く持ってくるなんてことないだろうな。

…美術部に借りてくるかあ。

そう思って、棚から身を引いたとき、視界の端で何かがちらついた。

見れば、元・青井先輩のロッカーの隙間からカラフルな紙が覗いていた。

これはもしかして………っ!

いそいそとロッカーを開ければ、期待通りに色とりどりな色画用紙が、業者かと疑うくらいに山盛りに積まれていた。

先輩ー、先輩の忘れ物癖が本領発揮しましたよ、初めて。

そこから何色かをピックアップする。

ピンク色の紙を取ろうとした時、違和感に気づいた。

丁度、私が手にした画用紙とその上の画用紙との間が不自然に分厚い。

不思議に思い、私は上部のカラフルな山を持ち上げ、その膨らみの正体を引き抜く。