3月も終わり、エイプリルフールも過ぎて、つい最近までが卒業式ムードだったのが信じられない速さで、今度は入学式が近づく。
それすなわち、新入部員獲得に向けて奮闘すべき時季がやってきたということ。
現在、写真部は新3年生2人、新2年生3人の総勢5名で成り立っている。
そして、部として承認される基準は、部員5名以上。これを下回ると同好会扱いされ、学校からの資金援助が降りなくなる。
はっきり言って、かなり危機的状況に陥っている。
ただでさえ過疎化の進む写真部において、先輩達が一度に5人も抜けたのが、完全に痛手だった。
これで私達、新3年生が引退すれば、廃部になる可能性しかない。
だから、何としてでも最低2人、あわよくば5人は入部して欲しいところ。
かなり気合いに満ちた私達。部活勧誘の手続きを行い、生徒会から1年生棟廊下での写真掲示が許可された。
今日はその下準備に学校に赴いたのだ。
写真自体は春休みの課題としてみんなに撮ってもらったのが売るほどあるから問題なし。
あとはポップで楽しげな装飾を展示スペースに施せば、入部希望者が殺到する…はず。きっと、多分。
若干不安になりながらも、私は部室のドアを開ける。
集合時間よりもかなり早くに到着したから、中には誰もいない。もちろん、いつも1番乗りだった先輩も。
部室に訪れるのは、卒業式の日以来でなんだか懐かしい。
5人分の荷物が跡形もなく消え去ったからか、狭くてごちゃついた室内がすっきりしているように思えた。



